第215章 何かあったら、私もお前を守れない

「まだ何か用?」

高野咲子は眉をひそめた。

高橋由紀がやけにまとわりつくようで、以前とはまるで別人に思える。

高橋由紀は穏やかな声で言う。

「いや、たださ。今夜、時間あるかなって」

「ない」

高野咲子は迷いなく言い切り、そのまま通話を切った。

切断音だけが残った画面を見つめ、高橋由紀の胸の奥がじくりと痛む。

時間が経てば、咲子も少しは気持ちが落ち着くと思っていた。だが実際は逆だ。彼女はますます自分を避けている。

――どうしてだ?

高橋由紀は、生まれて初めて「女の心」が読めないと感じた。

咲子の終わりの見えない避け方が、余計な想像を呼び込む。

あのとき言っていた「好き」...

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